大学院1 日本のチーズとワイン
國場先生のチーズ教室は、入門科、上級科そして研究科まででおしまいなのだけど、中には研究科を再度受講される方もいる位のの人気。そこで一部の生徒の熱意で、大学院ができた。とは言え、そんなに堅苦しいものではなくて、先生と供においしいチーズを楽しむサロン的なもののようだ。第1回は、国産チーズとワインを楽しむ会。いつもならアルパージュから一括してチーズは仕入れることができるのだけど、今回はそれぞれのメーカーからの取り寄せのため、送料が大変だったそうだ。沖縄だとこう言う時にさらに不利になってしまうのは仕方ないのだけど、これだけのチーズとワインを同時に楽しめるのはとても貴重な機会だ。
チーズは、飛鳥の蘇(京都) 、さくら(北海道協働学舎)、ピンザブラン・セックとフレ (沖縄のシェーブル)、山のチーズ (北海道三友牧場の)、山のチーズ (長野清水牧場)、チーズの味噌漬け(フェルミエオリジナル)
ワインは、ミュゼ・デュ・ヴァン松本平ケルナー2003、グレイス甲州・鳥居平2006、グレイス・ルージュ茅ケ岳2006、シャトーメルシャン長野メルロー2004。
最近でこそ、日本でも身近になったチーズだけど、それでも1年間に食べる量は2kg程度で、1位のギリシャの28.5kg、2位のフランス24.5kgには遠く及ばない。ただ1950年代にはなんと30gで80年でさえ600gだったことを考えると雲泥の差ではある。国内でのナチュラルチーズ作りが盛んになったのも10数年前からで、現在では全国に100を越えるチーズ工房があり、隔年で開かれるオールジャパン・ナチュラルチーズコンテストや11月11日のチーズの日のイベントなど日本のチーズ事情も盛んになりつつある。
飛鳥の蘇蘇は、日本におけるチーズの原型と言われるもので、飛鳥の蘇はそれを再現したもの。 32リットルの牛乳を約8時間煮詰めると約4キロの「蘇」ができるそうだ。真っ白な牛乳も数時間加熱すると次第に薄く茶色に色づき、煮詰まった頃には濃いキャラメル色になる。煮詰めて固めた物を木箱に流し込み冷蔵庫で冷やし固め8等分すると出来上がり。
見た目よりなめらかで、ちょっとしゃりっとした食感。イエ・オストみたいな香りもするけど、もっとあっさり。練乳のような風味もある。分類上は、チーズではなくて濃縮乳のようだ。
さくら
北海道協働学舎の宮島望氏が作られている白カビ熟成モールドタイプのチーズ。食べるのは、4度目かな? 甘味と酸味と塩気のバランスが絶妙で素晴らしい。ねっとりとした食感でチーズのケーキと言った感じもある。 詳しくは、入門科のAOC,DOPチーズの食べ比べを。宮島氏に関しては、チーズフェスタ2004の記事へ。
ピンザブラン・セック
ピンザブランは、もう何度も食べている沖縄のはごろも牧場で作っているシェーブル。シェーブルは熟成のいろんな過程で味の変化を楽しめるのだけど、これは長期熟成したもの。見た目も美味そうだ。外の皮はサクッとしていて中は適度にとろぉり。塩味も適度でスパイシーで美味い。熟成が上手くいくとこう言う風に美味くなると言う見本だ。
北海道三友牧場の山のチーズ
発酵食品礼讃 を書かれた小泉武夫教授(東京農大)も絶讃したというセミハードタイプのチーズ。セミハードだけど、ハードに近い感じの食感。食べ始めた時は、なんとはないチーズかなと一瞬思ったのだけど、しばらくすると甘味と旨味が口の中にじわりと広がる豊かな味。アミノ酸のシャリ感と濃厚さになめらかもあり絶妙な味だ。今回の中でもかなり気に入った一品。発酵食品礼讃 は、私も持っているのだけど、発酵食品の素晴らしさが詰まった貴重な1冊だと思う。
長野清水牧場の山のチーズ
これもセミハード。ホントウは、ここのウォッシュタイプが食べられるはずだったのだけど、入手できなかったそうだ。かまぼこのようななめらかな食感。あっさりとしながらコクのある味わい。見た目もとても綺麗で、ウォッシュ好きな私としては、セミハードでこれほど美味いならウォッシュは素晴らしい味なんだろうなと思いをはせてしまった。
これは、日本製ではなけどグリュエールやゴーダを味噌で漬けたフェルミエオリジナルのチーズの味噌漬け。右は、それを餅に載せてオーブンで熱を加えたもの。ちょっと塩辛い。
今回のパンは、参加者の一人でもある宗像堂の天然酵母のものだけど、いづれも美味い。アーサのパンも塩がきいていて美味い。
今回のワインのセレクトは國場さんのチーズマスター会の先輩でチーズシュヴァリエでソムリエでもある熱海在住の平賀冨士子さんのお力添えなんだそうだ。「私のセミナーにはいつも誰かが助けてくれるの。有り難い事ですね。」と先生は仰るけど、それも人徳があればこそのことだろうね。左から、ミュゼ・デュ・ヴァン松本平ケルナー2003、グレイス甲州・鳥居平2006、グレイス・ルージュ茅ケ岳2006、シャトーメルシャン長野メルロー2004。
ミュゼ・デュ・ヴァン松本平ケルナー2003は、香りは繊細で切れ味のいい白で長野県で作られている。グレイス甲州・鳥居平2006は、フルーティで、しっかりとしたボディで複雑な味のする山梨県の白。さくらやシェーブルによくあう。グレイス・ルージュ茅ケ岳2006は、森の香りがする軽やかな赤で、これも山梨県産。シャトーメルシャン長野メルロー2004は、しっかりとしたボディに芳醇な香りで、これは、美味いわ! 値段だけのことはある1本。長野県の桔梗ケ原で作られている。
國場さんお手製の料理の数々。
島らっきょうのチーズフリット 。小麦粉にビールとパルミジャーノを混ぜてカラッと揚げた一品。歯触りがサクットしてとてもいい。島らっきょうの甘味がよく活きている。
菜の花のサラダは、文句なく美味い。味噌が隠し味になっているドレッシングも秀逸。國場さんが作るサラダはいつも抜群に美味い。
アーサのキッシュも美味い。家にある8種類のチーズを全部使ったそうだけど、それぞれが渾然一体となって何とも言えない味を醸している。
ピンザブランのイチゴ添えは、シェーブルをこんな風に調理してデザートに仕上げてしまうのはすごいな。言われないとシェーブルとは分からないかもしれない。
と言う訳で、今回も満足。とても楽しく貴重なひとときだったと思う。次回の大学院はいつになるか分からないけど楽しみだ。
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