晩秋のチーズと料理を楽しむ
今回のおいしいチーズを楽しむ会は、20回目の節目もと言うこともあり、今までの形式としては最後になるそうだ。チーズ教室の卒業生も増え、このままでは収容するところも大変だし、回数も調整して、新たな試みが行なわれそうだ。と言う訳で今回の場所は、沖縄ハーバービューホテル10階のフレンチレストラン・ベルビューにて11月30日行なわれた。テーマは晩秋のチーズとお料理を楽しむ。
ベルビューは、その名前の通り、大きな窓からは那覇の夜景が一望にできる。今回は別室なので、ゆったりと過ごせた。
前菜は、ハイビスカス&プロヴァンス野菜&モッツァレラのフリット。出された時には、余りに可愛らしいと言うか小さいのであれっ?って思ってしまった。まるでストロベリーをフライにしたようなカタチ。小さくて余り味はよく分からなかったのだけどモッツァレラのとろぉーりとしていてまずまず。
ニュージーランド産赤座海老のエピス風味 色々秋野菜とジャガイモのクレープを添えて。エピスって何だろうと思ったらどうも香辛料つまりスパイスのことらしい。一般的には、4種の香辛料(コショウ、ナツメグ、クローブ、ショウガを混ぜたキャトル・エピスを指すんだろうか。それはともかく海老の身はプリプリで味付けもとてもいい。ただ身がとても小さいのが残念。半ダース位食べたらシアワセだろうなぁ。パンは、3種類でてきて、それぞれお代りも時々持ってきてくれるので男性には嬉しい。ただバターは余り質がよくなかったのは残念かも。
料理のメインは、北海道産蝦夷鹿モモ肉のロティ ポワブラードソース。鹿は余り食べたことはないのだけど、意外と脂もほとんどなくあっさりとした味で柔らかい。濃厚なソースもういいけど、塩コショーだけで食べてみたい感じもする肉だ。
食前酒は、キール・インペリアルですっきりとし味。舌にまとわりつかないのがいい。白ワインは、ペルナン・ベルジュレス1999 ドメーヌ・ラペ ペール・エ・フィス(Pernand-Vergelesses 1999 Domaine Rapet Pere et Fils) でシャルドネ種のぶどうのもの。黄金色の濃い目の色で熟成感のある辛口。赤ワインは、オークセイ・デュレス1990 ドメーヌ・ベルナール・ドラグランジュ(Auxey-Duresses 1990 Domaine Bernard Delagrange)でピノノワール種で、ビッグビンテージもの。力強い香りで、これもすっきりとした辛口かな。
今回のチーズは6種で、12時のところから時計回りに、モンドールAOC、ヴァシュラン。モンドールAOC、デュオ・ドゥ・ブリ・オゥ・トリュフ、シャロレ、トム・オ・マール・ド・レザン、エティヴァ・アルパージュAOC。
左のモンドールAOCは、フランスのフランシュコンテ産の牛乳製のウォッシュタイプ。別名は、ヴァシュラン・デュ・オー・ドゥー。黄金の山(モンドール)で作られる今が旬のチーズ。製造は8/15から翌年の3/15までと厳格に決められていて、モンベリアルド種の牛の無殺菌乳を使用し、熟成は3週間以上。1個約1kgを作るのに7リットルのミルクが必要で、AOCには1981年に認定された。塩もちょうどいい感じで、ねっとりとクリーミィで美味い。
右のヴァシュラン・モンドールAOCは、スイス・ヴォー産で、ことらは殺菌乳を使用。殺菌と言っても63℃で1分間の加熱で、搾乳後の保冷期間中に増殖した雑菌を死滅させ、なおかつ有用菌をほとんど損なわないテルミゼと言う熱処理方法が採られている。(通常の殺菌では63℃で30分又は、75℃で15秒かのいづれかの処理が必要)。フランス産との大きな違いは、スイス産のは表面を毎日塩水でこするようにウォッシュしているため表皮がゴールデンイエローをしている。フランスのものは1週間に1度位。またモンドールはもみの木の一種であるエピセアの樹皮で巻かれているのだけど、スイス産のがかなり大型だ。製造期間は、9月末から4月末で、熟成は4週間以上。そのせいか、フランス産に比べるとややハードな感じで、香りも塩も強め。
デュオ・ドゥ・ブリ・オゥ・トリュフは、フランス・ロレーヌ産で牛乳製の白カビタイプ。間にトリュフをサンドした贅沢なチーズだ。昨日のニュースでトリュフの話題が出ていたのだけど、普段1kg80万位するのが今年は不作で100万もするんだそうだ。とてもクリーミィで甘味と塩味のバランスが絶妙で、ホントウに美味い。
シャロレは、フランス・ブルゴーニュ産のシェーブル。ブルゴーニュを代表するシェーブルだけあってとても素晴らしい。ゴーティフレーバーは余り感じられず、ナッティなコクとさわやかな酸味。これなら山羊が苦手な人でも気にならないような気がする。AOC入りも間近ではないかと言われているそうだけど頷けると思う。
トム・オ・マール・ド・レザンは、フランスのサヴォア産の牛乳製のセミハードタイプ。秋に収穫したブドウの搾り粕をマールに漬けたものを表皮にまとわせた、これも旬のチーズ。甘味と旨味が口の中に広がる。
エティヴァ・アルパージュAOCはスイスのヴォー産の牛乳製のセミハードタイプ。5月から10月の期間限定で作られるチーズで、岩塩を使用しているせいか、まろやかな塩味とアミノ酸の結晶のようなシャリ感もあって滋味深い味わい。
最後に國場先生が、作ったモンドールに関する二者択一の問題が10問載った用紙が渡された。モンドールのサイトを参考に作られたそうだけど、オリジナルは三択なので、ちょっと簡単になっている。それでもちょっと迷うところもあったりして意外と全問正解は少なかったかも。そのモンドールの問題集はこちら。解答は書かないけど、この記事を読んだ人なら簡単でしょ?
デザートは、洋梨-ラ・フランス-のキャラメリゼ フロマージュブランのソルベと共に。これはフロマージュブランがとても素晴らしかった。感じるか感じないか位のほのかな酸味と控えめな甘味が微妙かつ絶妙にバランスしていて冷たさも余り感じることのない内に、口のなかでふわっと溶けていく。不思議な感覚でもある。焼き菓子の方は、甘く焼き菓子らしい味。エスプレッソの入ったマカロンみたいなのも美味かったかな。
と言う訳、フランス料理ではなかなかお腹が一杯になることはないのだけど、今回は結構満腹に近かったと思う。料理はチーズの脇役的ではもちろんあるのだけど、しっかりと主張はしている。ただ今回もチーズがいづれも素晴らしく、コンディションもアルパージュのものはいいので、美味すぎる位で、こう言うのを食べられるのは実にシアワセなことだ。ホテルのレストランにチーズの持ち込みをするのはもちろん、それにあわせた料理をしてもらうのも異例なことなのだけど、それを快く引き受けてくれたスタッフの人たちとそれを実現させた國場先生に深く感謝。
★美味しいチーズが食べたい★
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