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そばーじゅで職人魂

in01.jpgそばーじゅは(正確には、そばぁーじゅで、「ば」はうに点々を打つのではあるけど、難儀な名前だなぁ(^^;)、那覇市の泊小学校の近くにあるこぢんまりとしたフレンチレストラン。末吉シェフの作る料理はいつも食べるものに驚きと満足を与えてくれるので今度は何だろうと楽しみになる。今回はお店を借りきって18名でチーズ教室のメンバーでパーティ。さすがの末吉シェフもスタッフ2名ともども大忙しだったと思うけどとてもスムーズなサービスには感心させられるね。

今回は、チーズ教室研究科の最後の実地授業と卒業式に、おいしいチーズを楽しむ会も兼ねている訳で、テーマはそばーじゅにぴったりのアルティザナル。つまり職人魂。末吉シェフの素晴らしい料理やチーズ職人の丹精込めたチーズの数々を味わいながら職人魂を感じてもらうのが今回のテーマなんだそうだ。長い歴史に培われたフランスの食文化、それに関わる職人たちの心意気をMOFチーズ部門の議長であるロラン・バルテレミー氏は「チーズ職人の仕事とは、液体を固体に変え、それを五感に訴える完全な品質まで持って行かなければならない、すなわち活きている、進化する原料の精製を最善の状態にするということ。」と言い切っている。

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最初はシャンパーニュ。ボーモン・デ・カレイエール・グランド・レゼルヴ・ブリュット(Champagne Beaumont Des Crayeres Grande Reserve)で、すっきりとした辛口で美味い。アミューズ・ブーシュ(amuse bouche オードブルの前の軽い突き出しのこと。ブーシュは口の意。)は、オマールのサラダ・茶巾仕立て。中を開けるとパパイヤやエビのミソのソースがかかっていてワクワク。食べるとオマールエビがプリプリでパパイヤやミソの甘みと合わさってすごく美味い。もっともっと食べたい感じ。前菜の1皿目は、門司産カキのチエード。フランスでも生牡蛎が苦手な人がいて、そういう人のためにほんのりと熱を加えた料理だそうだ。ポロネギを載せたのは末吉シェフのアイデア。塩もコショーも使っていないシンプルな料理だけど牡蛎の汁ごと食べると至福の味だなぁ。もう3個くらい一気に食べてみたいと思わせてくれる。

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前菜の2皿目は、ランド産フォアグラのテリーヌ・コンソメゼリー寄せ。これまたすごい。フォアグラもコクがあってすごく美味いのだけど、コンソメのテリーヌが旨味が凝縮されていてすごい味だ。コンソメは1/10まで煮詰めさらに、ポルト酒やマデラ酒などを加えさらに半分に煮詰め、最後に野菜と卵白であくをとって仕上げる大変な手間をかけた逸品。その次魚料理は、ヒラメのブレゼ・ワタリガニのスープ添え。ブレゼとは、蒸し焼きのことだそうだ。廻りのスープはワタリガニ。本来ならボールに入れて浸かった状態で出したかったそうだけど、今回は18名もの大所帯なのでさすがに食器が足りなかったと恐縮されていたけど、味はとてもいい。ソースにパンをつけて食べるとまたこれが美味いのだ。

ワインは赤と白。赤は、マイアーナ・サリーチェ・サレンティーノ・ロッソ(Maiana Salice Salentino Rosso 2003)。イタリアブーリア州 ネグロアマーロ、マルヴァジア、ネーラ種使用のミディアムボディ。聞いたことのない品種だけど、香りがちょっと変わっていて、バランスのとれた飲みやすいものだった。白は、オーストラリア産のPeter Lehman Berossa 2005 Rieslingで、すっきりとしていい感じ。
ここで、舌休めのグレープフルーツのグラニテ。爽やかな酸味。

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ここまでは、いつもに比べると量的には少ないかなぁとも思ったりしたのだけど、メインの仔羊のパイ包み焼き・マリアカラス風は、いきなりヘビーなボディブローをくらったような力強い一品。仔羊には、フォアグラとトリフュと木ノ子(マッシュ)まで入っているのだ。マリアカラスが愛したメニューなんだそうだ。私的には、ここまで凝ったものより、去年食べた時の仔羊(左の写真)の方が肉らしくて好みだけど、これも火の通し方も絶妙で美味い。甘みのある濃厚なソースもあいまって力強い。これもソースをパンでぬぐって食べるのだけど、今日はたくさんパンを食べたなぁ。

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この時点でお腹は急に満腹に近くなったのだけど、さらにチーズ教室らしいチーズプラトーが登場。パンの右から時計回りに、ヴィニュロン コンフィチュール フランボワーズ、トメット ド シェーヴル ボージュ、トム・オ・マール・ジュラ、フルム・ダンベール、ギャルソンチーズ工房のシェーブルの若熟と適熟の6種類。

ヴィニュロン・コンフィチュール・フランボワーズ。フランス・アルザス産の牛乳製でMG50%。コンフィチュールとはジャムのことでアルザス産のラズベリーがサンドされている。古いレシピを元にマンステール生産者のフィシェール家が新たに作ったもの。マンステールは私の好きな滑らかで、かつクリーミーなウォッシュタイプのチーズ。フルーティーな香りが広がるから、さらに美味い。

トメット ド シェーヴル ボージュは、フランス、サボアの山羊チーズで、ゴツゴツした固い灰色の表皮。ねっとりしていて濃厚なコクがあるね。トメットとは小さなトムと言う意味でなんだけど、トムは、チーズの製造工程の初期段階でカードを粉砕して圧縮機にかけた段階のチーズのこと。ねっとりとクリーミーで濃厚な山羊乳の味わい、塩味のバランスが絶妙なシェーブル。これはアルパージュからのこの会へのプレゼント。アルパージュは、いつも最良のチーズを提供してくれるこぢんまりとした素晴らしいチーズショップ。ここなら安心してチーズを注文できる。

トム・オ・マール・ジュラは、フランス・フランシュコンテ地方産で牛乳製。表皮をマールで拭いて仕上げているセミハードタイプのチーズ。表皮に、直接マールをふりかけるかマールを湿らせた布でチーズの表皮を拭いているらしく、ウォッシュと同じような香りがして、甘味のとコクのある味わい。

フルム・ダンベール・モランは何度も食べたことがあるけど、美味いブルーチーズ。フランス・オーヴェルニュ産の牛乳製でMGは、50%じんわりと甘くしっとりした口当たりでミルクの甘味とチーズの塩味がほどよい。
チーズ入門8のチーズの保存シュヴァリエ・ディナー研究科2研究科6でも紹介している。

最後の2つは、群馬にあるギャルソンチーズ工房のシェーブルの1カ月熟成と2カ月のものの6種類。1カ月のものは灰がまぶしてある。これを作っている熊井さんは、彫刻家なのだそうだ。飼い始めたヤギの乳量が多く飲みきれないのでチーズ作りを始めたきっかけとのこと。桑の葉だけを食べさせているそうなんだけどそうすると乳量がなんと3倍にも増えるらしいのだ。しかも温度調整された部屋で3日間もかけてホエーを抜くそうだ。それがまるで絹のようにきめ細かく滑らかな味を生み出すんだろう。1カ月のものは、ゴーティフレーバーもほとんどなくとても爽やかで気持のいい酸味のあるシェーブル。ピンザブランも滑らかなんだけど、これと比べるとざらっとした感触と思ってしまうかもしれない。2カ月のもものは、ねっとりとしていて濃厚でまろやか。これは口に含むとゴーティフレーバーが抜けていくのだけどなんとも上品な味わいだ。シェーブルは今までいろいろと食べてきたけど、これはそれらのどれよりも上品でインパクトのあるチーズじゃないかなぁと思う。これは、マスター会から提供していただいたものだそうだ。感謝。

Dessert_sova最後のデザートは、主催の国場さんリクエストのリバーブ(西洋フキの茎)のタルトとプディング・ド・フロマージュ。タルトはサクッとした食感と爽やかな酸味がよく、プリンはねっとりとしたコクのある味。プリンをタルトにのせて食べてもいける。そしてコーヒーと大満足でお腹一杯の夜だった。
あ、ここのお水はとても美味くて料理の口休めにもすごくいいんだけど還元水を使用しているとのことだ。料理は美味いのに水が美味くない店がたまにあるけど、料理を食べれば食べる程に水の味ってよく分かるものだから大切だよね。

Studentsさて入門科に始まり3年間のチーズ教室も今回で無事卒業。お二人は余りに楽しいので留年して来年も研究科を続けるとのこと。私も機会があれば参加してみたいな。特にチーズプラトーは未履修だしなぁ。ともかくこの3年間に、ほんとにいろんなチーズを食べる機会があり楽しいセミナーだった。覚えていないチーズもたくさんあると思うし、これからも機会があるごとにチーズに接していきたいなと思う。国場先生ありがとうございました。そしてこれからもよろしく。

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