研究科8 DOPチーズ研究
研究科8は、DOPチーズ研究。イタリア、スペイン、ポルトガルのものがあるけれど、ポルトガルのは最近は輸入されず入手できないので前者2つとなった。今回食べたのは、ロビオラ・ディ・ロッカヴェラーノDOP、クァルティローロ・ロンバルドDOP、アズィアーゴ・ストラヴェッキオDOP、フィオーレ・サルドDOP、アルスア・ウジョアDOP、ケソ・サモラノDOP、ケソ・マホレロDOPの7種。それとピンザブランの泡盛ウォッシュに、てだこ亭の飯塚さんが持ってきた蔵王のブルーチーズで計9種類。
1.イタリアDOP(Denominazione d'Origine Protetta)チーズ
イタリアのDOPは最近加わったホエーチーズのリコッタ・ロマーノを加えて32種。イタリアチーズの特徴は、山羊乳、白カビチーズがなく、セミハード、ハードタイプが多く、ハード系の生産量が全体の40%を占めること。またチーズ作りには、ミルクと凝乳酵素、塩のみが使用される。イタリアは南北に細長く伸びた半島で火山帯が多く、さらに地中海、アドリア海、イオニア海に囲まれている。北部でアルプスを背にした豊かな牧草地帯では牛乳のチーズが数多く製造されていて、中南部では暑く乾いた気候のため羊乳や水牛乳、山羊乳のチーズ作りが行なわれている。
2.スペインDOP(Denominacion de Origen Protegida)チーズ
スペインチーズの分類は乳種によって、牛、羊、山羊、それらの混乳に分類される。(魅惑のスペインの記事を参照)ハード系が50%を占め、DOPチーズは現在18種。ただしこの数字は年によって突然変わったりするので大体の数と憶えていた方がよさそうだ。イタリアのDOPチーズにしても混乳でもよかったりとAOCに比べると緩やかな規制だったりするのだけど、スペインはさらに輪をかけているのかもしれない。スペインはイベリア半島の5/6を占め、三方を海に囲まれている。北部は緑のスペインと呼ばれ、降水量が多く豊かな牧草に育まれた牛乳のチーズが多く、中央部はメセータと呼ばれる高原地帯で羊乳チーズが多数生産され、地中海に面した東部・東南部は温暖で乾燥した気候のため山羊乳チーズが多い。
3.ポルトガル(Denominacao de Origem Protegisa)チーズ
DOPチーズは10種類で、羊、山羊、牛、またはそれらの混乳で作られるものが多い。大きな特徴は凝乳酵素に植物性レンネット(朝鮮アザミのおしべ)を多く使用していること。イベリア半島の南西に位置するポルトガルはアゾーレス諸島、マディラ諸島及び本土の西と南が大西洋に面しているため、伝統的に漁業が盛んな国である。酪農も古代から行なわれている生活手段で、中でもチーズは最重要の製品である。
ロビオラ・ディ・ロッカヴェラーノDOPは、イタリアのシェーブル。MGは45%で非熟成。今回食べたのは山羊乳100%のものであるけれど、混乳製のものが多いようだ。製造後7〜10目くらいではないかとのこと。爽やかな酸味があり、ヨーグルトのような風味で、甘みも感じることができる。山羊特有のクセもなくサラッとした食感で、喉ごしがひんやりと乾燥したような感じを受ける。
クァルティローロ・ロンバルドDOPもイタリアでウォッシュタイプ。牛乳製で、バターを作った残りの部分で作っているためにMGは30%とやや少なくて熟成期間は5〜30日。クァルティローロ(Quartirolo)とは4度目の刈り取りと言う意味だそうだ。ウォッシュなので香りはやや強めで、味は滑らかなプロセスチーズのような感じで、かまぼこみたいでもある。
アズィアーゴ・ストラヴェッキオDOPもイタリアで、昔は羊乳だったようだけど今は牛乳製のハードタイプ。MGは44%で熟成は18〜24カ月。熟成期間が短いものは、アズィアーゴ・フレッサートと呼ばれているそうだ。香りは弱めだけどいい感じ。ちょっとぱさっとした食感だけど口の中ではクリーミィに変化する。塩加減もちょうどいい。皮の部分がカリッとした食感。チーズ鱈にちょっと似ているかな。
フィオーレ・サルドDOPもイタリアでセミハードタイプ。羊乳でMGは40%。熟成は6カ月。表面はスモークされていて皮の部分はほのかにスモーク臭がするけれど、全体的には森の中の湿った地面のような香りがある。旨味成分がとても強いように思う。皮がカリッとしているのもいい。
アルスア・ウジョアDOPは、スペインの牛乳製のセミハードタイプ。MGは45〜48%で、最低15日の熟成で最近DOPになりたて。これは見た目もすごく美味そうだけど、実際今日食べた中では一番気に入った。外側の方はちょっとサクッとした感じで内側はバニラクリームのように滑らかで、チーズのシュークリームのようでもある。味は濃厚で、かつあっさりとした風味で塩の加減もすごくいい。ハード系の多いスペインのチーズの中では独特な食感で、こういうのは初めて食べたなぁ。
ケソ・サモラノDOPもスペインのセミハードタイプ。羊乳でMGは45%。熟成は9カ月。外側に綺麗な模様がついている。こういうのをマンチェゴスタイルと呼ぶらしい。ケソ・サモラノDOPに限らずスペインのチーズには表面に型押しがされているものなどが多いのも特徴のようだ。味だけではなく見た目にも他と違いを強調するのはスペイン気質なんだろうね。アミノ酸を凝縮したような力強く深い味わいが口中に広がる。塩が強めというよりきりりと塩で引き締めたスパイシーな辛みがあり、泡盛やウィスキーのような強い酒とも相性がよさそうな感じがする。
ケソ・マホレロDOPもスペインのセミハードタイプで、山羊乳のもの。MGは52〜55.5%で熟成は20日〜。これは7月にラ・コールで行なわれたおいしいチーズを楽しみ会で食べたことがある。その時の感想は、濃厚なミルクから作られる酸味とコクのバランスが絶妙。最初の食感はちょっとサクッとした感じですぐに爽やかな酸味と甘味が口に広がってバランスがとても素晴らしい上品な味。と書いたのだけど今日食べたのは、状態がそれほどはよくなかったせいか、香りが少なくクセのない食べ易いチーズと言う印象だった。おそらく上品な味と言うのは、流通や保存状態の過程でのバランスがとても難しいものなんだろうと思われる。
今日のワインは、Amarone 2001 Tedeschi Valpolicella Classico。ぶどうを干しぶどうにしてから作るので、甘みが強めだけど、すっきりとした甘さ。ブルーベリーやサクランボのような香りがとてもいい。パンはいつものように宗像堂のパン。ジャムは、国場先生の親戚の方の手作りの梅とリバーブ(西洋フキの茎)。
サラダは、とても香りのいい木ノ子のサラダ。エリンギ、エノキ、シメジ、舞茸とベーコン、ニンニクの相性は抜群。味付けはピジョンマスタード、オリーブオイル、レモンオリーブオイルだそうだ。シンプルながらすごく美味い。これは私も作ってみよう。
ピンザブランは、おなじみはごろも牧場の沖縄唯一のシェーブル。それを国場さんが泡盛でウオッシュして熟成したものがこれ。手前の3つは1カ月もので、奥のオレンジ色したのが2カ月目のもの。今回はその2カ月目のものを試食。30度の泡盛を15度に水割りした泡盛でウォッシュするのだけど泡盛ならどれでもいいと言う訳ではないのだそうだ。この辺りはここでは余り詳しくは書けないのでご了承を。で、食べてみた。これはもうシェーブルと言うより豆腐ように近いねっとりとした食感で、喉を通る時にはゴーティフレイバーと泡盛の香りが渾然一体となった味。何も言われなかったら豆腐ようと間違う人もいるかもしれない。塩気が強調されているけれど、塩辛いと言う訳ではなくてピリっとした風味で、これは泡盛とよくあいそうだなぁ。
今週の日曜、那覇市松山のラ・コールで開催される美味しいチーズを食べる会の「チーズと泡盛」では手前の熟成1カ月のものがでるらしいのだけど、こちらも楽しみだ。どんな味がするんだろうか。問い合せはラ・コールへ。沖縄県 那覇市 松山 1-7-1 tel. 098-860-8777 fax. 098-860-8811
蔵王のブルーチーズは、クリーミィで塩加減も強くなくクセも余りなくて食べ易いブルーだった。ちょと優等生的?って感じかな。
デザートは先生手作りのパンプキンパイ。カリッとしたパイとねっとりと自然な甘さのカボチャのペーストの組み合わせがとてもいい。香ばしくもありコーヒーとともにいただくとシアワセな気分で、お腹も満足!
おっと書き忘れていたのだけど、国場先生は本年度の泡盛マイスター試験に合格されたそうです。おめでとうございます。ますますピンザブラン泡盛ウォッシュにも磨きがかかることでしょう(^^
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